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2019年に大幅に改正されたゴルフのルール。アマチュアがプレーしやすく、スロープレーを防げるように一部のルールが簡略化された。しかし、改正された後のルールを知らなかったり、勘違いしたりしているアマチュアも少なくない。ラウンドになれていてもうっかり見落としがちなルールを紹介する。
スポーツには必ずルールがあり、プレーヤーはルールに従ってプレーしなければなりません。そして、ルールに違反したときは、うっかりであれ、故意であれペナルティを受けます。
ゴルフのルールは2019年1月に大幅な改正が行われ、アマチュアがプレーしやすく、スロープレーを防げるように一部のルールが簡略化されました。ただ、改正された後のルールを知らなかったり、勘違いしたりしているアマチュアも少なくありません。中級者でもうっかり間違いがちなルールを7つ紹介します。
2019年のルール改正によって、それまでティーインググラウンドと呼ばれていた1打目の場所をティーイングエリアと呼ぶようになり、ティーショットのルールも整理されました。
アマチュアがよくやってしまう違反に「でべそ」があります。でべそとは、ティーイングエリアに設けられたティーマークより前に出てボールを打ってしまうことです。2つのティーマークを結んだラインより前に出てボールを打ってはいけません。
新ルールではティーイングエリアの外からティーショットを打つことが禁止されました。ティーイングエリアとは、前方が2つのティーマーカーを結んだライン、奥行きはマーカーから2クラブの長さまでのエリアです。
でべそに限らず、このエリアからはみ出して打つと、2打罰で打ち直しとなりますが、違反した最初のショットはカウントせず、打ち直しは3打目となります。
また、ボール全部がエリア外にでていなければエリア内のボールと見なされ、体の位置は問題になりません。ですから、体が「でべそ」の状態になっていたときも、ボールの一部さえラインの内側にあれば、違反にはなりません。
打ち直しをしないままそのホールを終え、次のホールでティーショットを打った場合、正式な競技では失格となります。
従来、アドレスをとった後、ボールが動いてしまった場合、基本的には1打罰で元の場所にリプレース(置き直し)しなければなりません。
しかし、2019年のルール改正で、プレーヤーが球を探しているときや、グリーン上に球があるときに限っては、球を偶然に動かしてしまっても罰なしでリプレースできるようになりました。このため、グリーン以外でも無罰でリプレースできると勘違いしている人がいるようです。
強風など自然の力でボールが動いてしまった場合は、ペナルティなしで打てますが、リプレースはできず、動いたボールが止まった位置から打つのがルールです。このとき、ボールを拾い上げて元の場所に置き直すと2打罰となります。ただし、2023年1月のルール改正で、OBや池ポチャなどでドロップしたボールについては、自然の力で動いた場合は無罰でリプレースできることになりました。
また、ティーイングエリアでドライバーショットを打つ際に、ティーアップしてアドレスに入った後に、クラブヘッドがボールに触れてティーから落ちてしまった場合は、インプレーの状態ではないため、ボールを拾い上げて無罰で再度ティーアップができます。空振りをしてボールがティーから落ちた場合も、ティーイングエリア内であれば再度ティーアップして打つことができます。
こうした動いたボールの処置は、プロゴルファーでも間違えることがあるため注意が必要です。
同伴競技者のボールや隣のホールから打ち込まれたボールなどを誤って打ってしまうと、誤球のペナルティとして2打罰が科せられます。この場合は、誤って打ったボールを元の位置に戻してから、改めて2打を追加して自分のボールを打ちます。
もし、自分のボールが見つからなかった場合は、ロストボールとなり、さらに1打罰で元の場所から打ち直すか、ボールがなくなったとみられる付近から2打罰で打つかどちらかになります。このような状況になるとスコアが悪くなるだけでなく、プレーも遅くなり、周囲に迷惑をかけてしまいます。
しっかり自分のボールを確認し、間違って他人のボールを打ってしまわないよう気を付けましょう。
2019年のルール改正で、バンカー内でもボールから離れた位置で、砂の状態を確認する目的でなければ、クラブを砂に付けても良いことになりました。具体的には、バンカー内にクラブを置いたり、急傾斜などでクラブを杖代わりに使用している状態です。
このルール改正を、アドレスでクラブのソールを地面につけてもいいと勘違いしている人がいます。しかし、バンカーショットは従来のルール通り、打つ前にクラブのソールなどを砂につけてはいけません。地面につけてしまうと2打罰です。
グリーンの上ではボールを拾い上げて、拭くことが許されています。グリーン以外でも、ルールでリプレースできる場合は、拾い上げて拭くことができます。
しかし、自分のボールかどうかを確認する場合や、傷の確認、同伴者の邪魔にならないよう拾い上げた場合はボールを拭いてはいけません。ボールに泥などがついて汚れ、自分のボールかどうか確認できないときは、最小限の部分だけ汚れを落とすことは問題ありませんが、認められていないのにボールを拭いてしまうと1打罰です。
リプレースしたときに、気を付けなくてはならないのが、拾い上げる前に必ずマークしなければならないということです。マークし忘れると1打罰となります。また、ボールをマークしたり、リプレースしたりする際、ボールが動いてしまったら、無罰で元の位置に戻せます。
グリーン上のボールは、マークすれば拾い上げることができ、ボールを拭いてもいい、ということはたいていのプレーヤーが知っていると思います。しかし、ボールを取り換えてもいいと思っている人がいるのではないでしょうか。
ルールでは、ティーショットからカップインまで同じボールを使ってプレーしなければならないと決められています。途中、ボールの交換が認められるのは、OBやロストボールなどで救済を受けるとき、ボールが損傷したときなどだけです。
救済措置でドロップやリプレースするときにはボールの交換が認められているため、グリーンでマークをした後も、ボールを交換していいと勘違いしてしまいがちですが、救済などでもないのに交換するのは罰則の対象です。
以前は2打罰のペナルティでしたが、2023年1月のルール改正で1打罰に変更されました。
スロープレーになってはいけないからと、同伴者のボールが動いているうちに、次のプレーヤーがボールを打ってしまうと2打罰です。
パッティングのときなど、相手のボールから離れているからと、打ってしまう人もいますが、ペナルティというだけでなく、マナーという面からも問題です。
スロープレーにならないよう注意することは必要ですが、ルール違反にならないよう気を付けましょう。
<監修>吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。
文:吉田洋一郎
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