2024.08.17

ゴルフを通じて子どもたちに学びや気づきを与える『ファースト・ティ』とは

古江彩佳のメジャー優勝や松山英樹の銅メダル獲得などをきっかけに、ゴルフに興味を持つ子どもたちが増えている。そんな次世代を担う子どもたちの健全な人格形成を、ゴルフをとおしてサポートすることを目的とした教育プログラム『ファースト・ティ』。年々注目を集めるイベントのその中身とは?

ファースト・ティイベント集合写真

人間形成に大切な9つの価値観「ナインコアバリュー」

1997年にアメリカで生まれ、現在までに全世界で1, 500万人の青少年が参加している『ファースト・ティ(First Tee)』プログラムイベント。

これは、"Building Game Changers"を活動のコンセプトとし、ゴルフを通じて、子どもたちの人間形成、人生を豊かにする価値観を育み、健全な判断力を培うことを目的にした教育プログラムだ。

このプログラムの特徴は、ゴルフスキルの向上を目的としたレッスン主体のイベントではないこと。

将来、子どもたちが豊かな人生を歩んでいくための、健全な人間形成に大切な9つの価値観「ナインコアバリュー」を身につけることを目的としている。

具体的なナインコアバリューとは「正直」「誠実」「スポーツマンシップ」「尊敬」「自信」「責任」「忍耐」「礼儀」「判断」というライフスキル(生きていくうえで必要な能力)の中心となる、9つの価値観。

アメリカではゴルフコースでの実施だけでなく、学校教育や放課後プログラムにも取り入れられている。

「ファースト・ティ」プログラムイベントの1日の流れ

では、具体的にイベント当日はどんなプログラムを行うのだろうか。ある1日を紹介する。

まずはオリエンテーションが行われ、「ナインコアバリュー」のなかからその日に取り組むテーマが1つ発表される。

プログラムを担うのは、First Teeの認定を受けた専任のコーチとアシスタントコーチたちだ。

ファースト・ティイベントの写真
オリエンテーションで当日のテーマを説明。

教科書代わりのヤーデージブックを使い、プログラムの意義や大事なポイントを子どもたちと確認。その後は、実践練習へと移る。

ファーストティイベントの様子
グリーンを使ってアクティビティを実施。

練習場ではゴルフクラブを使ってボールを打ちながらも、テーマが身に付くよう工夫しながら、コーチたちは積極的にコミュニケーションをとっていく。

ファーストティイベントの様子。
練習場で実際にボールを打ってみる。

また、同年代の子どもたちがすぐに打ち解け、友達になれるよう、ゲーム性を持たせるなど、成功体験を一緒に共有しながらレッスンを進めていく。

練習後のラウンドでは全員でカップインを目指す

プログラムのクライマックスは、広いコースを使ったラウンドレッスン。

その際、目土、ピッチマークの修繕などコース保全のためのマナーを教えることも大事なプログラムだ。

ファーストティイベントの様子
実際のゴルフコースに出てラウンド体験。

そして最後は、子ども同士が協力し合いながら、最後まで諦めずにカップインすることを目指す。

コースのあちこちで、「ナイス!」「うまい!」といったポジティブな掛け声が聞かれ、子どもたちの生き生きとした姿を見ることができる。

プログラムの終了時には、子どもたちそれぞれがヤーデージブックに想いを書き込み、発表。

その日のテーマに対して、ゲームを通じて発見したことなどを振り返る。ファースト・ティーでの学びを学校や家庭でも活かせるよう、コーチからアドバイスも。

ファーストティイベントの様子
最後に今日気付いたことや感じたことを発表。

参加した子どもたちからは「知らなかったことが知れて面白かった」「みんなで一緒にやると楽しかった」といった感想が寄せられ、親からは「上手くなることより、マナーを自然に教えられるいい機会」「同年代の友達ができ、嬉しそうな表情が見られて良かった」と好評だ。

全国のゴルフ場、ゴルフ練習場を運営するアコーディア・ゴルフは、この「ファースト・ティ」活動に賛同し、2016年より運営コースにおいてプログラムを開催。

現在は全国計6施設で未経験者、初心者、初参加でも気軽に参加できる「ファースト・ティ(First Tee)」イベントを定期開催している。

開催日の日程一覧などは「ファースト・ティ プログラム」のページからチェックを。

文:一寸木芳枝