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仲間同士や取引先とのゴルフでは、互いに声を掛け合い、楽しくプレーすることが大切だ。同伴者から一目置かれる掛け声と、声を掛けるときのマナーを紹介する。
ゴルフは同伴競技者と一緒にプレーし、少ない打数でホールアウトすることを競うスポーツです。もちろん他の人より良いスコアを目指すわけですが、決して足を引っ張り合うのではなく、互いに敬意を払い、協力しながらプレーを進めていきます。
それが紳士のスポーツと呼ばれる理由の一つですし、実際に同伴競技者と気持ちよくプレーできるかどうかがスコアに影響することもあります。
特に親睦を深めることを目的とした、仲間同士や取引先とのゴルフでは、互いに声を掛け合い、楽しくプレーすることが大切です。同伴者から一目置かれる掛け声と声を掛けるときのマナーを紹介します。
ゴルフで気を使うのは、クライアントとのいわゆる「接待ゴルフ」や上司とのラウンドでしょう。黙ってプレーをしていると「感じが悪い」「生意気だ」と思われかねませんし、やたらと話しかけてプレーの邪魔をしてもいけません。
プレーに対して声を掛けるにしても、言葉選びやタイミングが重要です。
ゴルフを知らない人でも「ナイスショット」という言葉は聞いたことがあるでしょう。とりあえず、ナイスショットと言っておけばいいのだろうと思っている人もいるかもしれませんが、掛け声にもTPOがあります。
「ナイスショット」の掛け声は、ティ―ショットやセカンドショットなどを打ったときに、良い場所へボールが飛んだことを賞賛したり、飛んでいく弾道を褒め称えるものです。
ナイスショットは和製英語といわれており、海外では「グッドショット」が一般的ですが、日本ではナイスショットを使用するほうが無難でしょう。
ほかにも「ナイス」を使った言葉があり、場面によって使い分けることができます。
グリーンに乗せられれば「ナイスオン」、カップに入れば「ナイスイン」、うまくパーでまとめれば「ナイスパー」。上級者だと、危ない所を絶妙に切り抜けてパーをセーブできれば「ナイスセーブ」などと声をかけます。
褒め言葉だからといって「ナイス」を何に対しても連発すると、適当に言っている感じがしてよくありません。特に上司や取引先、上級者に声を掛けるときは、タイミングと状況に気を付けてください。
声を掛けるタイミングはボールの行方を見極めてからです。きれいなフォームから力強いボールが飛んでいったからといって、思わず「ナイスショット」と声を掛けてしまうと、池やバンカーに落ちたときに気まずい思いをしてしまいます。
こういうときは「おー」「すごい」などと驚きを表現する言葉にとどめておけば、結果が悪くても「飛んだ場所が惜しかったですね」などとフォローできます。
また、ミスショットをして普段ほど飛ばせなかった上級者に対して「ナイスショット」と言ってしまうと、良い反応が得られないかもしれません。
ショットの良し悪しが判断できない初心者は周囲や本人の反応を見て「ナイスショット」と声を掛けたほうが無難でしょう。
うまくいかなかったときには「ナイス」を使って慰めたり励ましたりもできます。
果敢にグリーンを狙ったのに池に落ちてしまったときや、ロングパットをオーバーしてしまったときは、挑戦を称えて「ナイストライ」。
バンカーや林に入れてしまった後、うまく脱出できたら「ナイスアウト」。脱出した後にグリーンにうまく乗せられたら「ナイスリカバリー」と声を掛けるといいでしょう。
パッティングで距離感は合っていたのに、芝の状態や傾斜などが原因で外してしまったというときは「ナイスタッチ」と励ますのもいいでしょう。「ナイスタッチ」は長い距離のパットを寄せたときにも使えるので、便利な掛け声です。
初心者はOB方面に打ち込んでしまうことも少なくありません。不安そうな顔をしていたら、「大丈夫かもしれない。とりあえず探してみよう」と声を掛け、暫定球の打ち方やルールについても教えてあげましょう。
結果がどうであれ、次のショットをうまく打てたら、「ナイスリカバリー」と励ますことで、本人も自信を取り戻せます。
また、部下や初級者とラウンドするときは、先輩としてマナーや振る舞いを教えながらも、委縮せずにゴルフを楽しめる雰囲気をつくることが大切です。
積極的に声を掛け、ゴルフを楽しんでもらいましょう。
初心者にゴルフのルールやマナーを教えることは、本人のためになるので先輩として大切な役割ですが、技術的なことまでアドバイスをしてはいけません。
ゴルフスイングは人それぞれで、自分のやり方が他人にも合っているとは限りません。聞かれてもいないのに、余計なアドバイスをしたことでスイングが崩れてしまうこともあります。
また、相手がレッスンに通っていたら、コーチのアドバイスと先輩からのアドバイスの間で悩んでしまうかもしれません。
雑誌や動画で見た程度の生半可の知識をひけらかすのもNG。技術について語るのは、プロレベルの知識と技術を身に付けてからにしましょう。
初心者と一緒のラウンドなら、お互いに応援し合い、とにかく楽しんでラウンドすることを心がけるようにしましょう。
試合や真剣勝負のコンペなら、互いに助言し合うのは控えなければなりませんが、プライベートのラウンドであれば問題はありません。
技術的なアドバイスは難しく、結果が出ないとお互いに気まずい雰囲気になるので避けたほうが無難でしょう。
良かれと思ってアドバイスしたことが、「いちいち打ち方に口を出されて窮屈」と思われるかもしれません。
どこを狙えばいいのか、状況をどのように考えればいいのかなど、コースマネジメントについてアドバイスすれば株が上がるでしょう。
アプローチショットでは「届け」「寄れ」、パッティングでは「入れ」「切れるな」などと相手のプレーを応援しあうことで、よりラウンドも楽しくなるはずです。
掛け声だけでなく、ゴルフをより楽しむにはスムーズな進行に協力するのもマナーです。
セルフプレーであれば、同伴競技者が置いていたクラブを拾って渡したり、カートを先に回しておいたりするなど、細かな気配りを見せましょう。キャディー付きのプレーでは、すべてをキャディー任せにするのではなく、自分でしたほうがスムーズな場面などは協力することも大切です。
また、クライアントや上司のタイプによって、接し方を変えるのもゴルフをより楽しんでもらうコツです。とにかくゴルフを楽しみたいというタイプには、積極的にプレーを褒めてプレーを盛り上げて楽しくラウンドをしましょう。
スコアにこだわり、上達を目指しているタイプにはプレーの邪魔をしないようにしつつ、昼食時やホールを移動する際などに、学ぶ姿勢でゴルフについて話を聞くと、好感を持ってもらえるかもしれません。
とにかく、ゴルフを楽しむには相手の気持ちに配慮しつつ、自分も楽しむことが大切です。思いやりと配慮、節度をもってプレーを楽しみましょう。
<監修>吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。
文:吉田洋一郎
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