2025.04.15

石川遼「習志野CCはマスターズに匹敵」。速いグリーンの対処法とは。アマ必見!

2024年シーズンは節目となる通算20勝目を飾るなど充実したシーズンを送った石川遼プロ。取り組み続けるスイング改造においても、「ひとつの方向性を見つけることができた」と言う。そんな石川プロに今季の抱負を語ってもらうとともに、日本初のPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」を振り返ってもらった。

習志野のグリーンは密度が濃かった。まさにマスターズそのもの!

2024年シーズンの石川プロは年間2勝、賞金ランキングは7位。ただ、数字以上に得られたものは大きかったと振り返る。

「実りのあるシーズンでした。育ててきたものが実ったシーズンであったし、だからこそ見えてきたものがあります。取り組んできたスイング改造において、自分のなかではいろんなものを投資して、改善してきたつもりですが、実はまだまだ問題があるとわかったシーズンでもありましたね」

石川プロが取り組んできたスイング改造には、ロングゲームの精度を上げるというテーマがあった。

そのきっかけのひとつとなったのが、アコーディア・ゴルフ習志野カントリークラブで行われたZOZO CHAMPIONSHIP。2019年から6年にわたり日本で初となるPGAツアーが開催され、石川プロは2023年大会で4位に入るなどの成績を残した。

その時に同組でラウンドしたコリン・モリカワ選手のプレーが刺激的だったそう。

「このメンバーと競いたい、彼らに勝ちたいという思いは強まりましたね。コリン選手と3日目に同組でプレーしましたが、僕も調子がよい状態でアイアン、ウェッジ、パッティングでスコアをしっかりつくれていました。大会中、同じ番手のアイアンを持つシーンがあったのですが、僕なら1ピン右にしか狙えないところで、その半分につける。

また、ミドルアイアン、ロングアイアンでも精度の高さを感じましたね。特にその週、ウェッジは自分のなかで自信を持てていたし、いいパフォーマンスを発揮できていた。そんななかで、その上を彼はいっていたので、逆にもっと上手くなれるんだ、上手くなっていいのだと思えました」

ここ数年は国内男子ツアーも若手の台頭が著しいが、それでも石川プロがトップで活躍できるのは飽くなき探究心と向上心を持っているからだろう。

石川プロはZOZO CHAMPIONSHIPでのアコーディア・ゴルフ 習志野カントリークラブがそうだったように、環境が選手の意識を高め、レベル向上につながると考えている。

「よく"マスターズのコンディションはすごい"と言われますが、あの時の習志野の18ホールはマスターズに匹敵していたと思います。そんな高いレベルの舞台で戦えたことは選手として大きな経験になったと思います。2025年は昨年の賞金王の金谷選手や平田選手が海外にいるのも、習志野での経験が大きく影響していると思っています」

「習志野の芝は危険(笑)」と語る石川プロ。特に14番ロングホールの2段グリーンは、上に乗せても下に乗せても難しかったという。

2024年のZOZOチャンピオンシップで、石川プロは56位タイに終わった。それでも彼は"1年間をとおして最もパットが入った1週間"だったと振り返る。

「フェアウェイもグリーンもあれだけの密度の濃い芝は、出場した選手にとって初めてだったんじゃないでしょうか。密度が濃いから短く刈れるし、速くもできる。自分のなかでは2024年の習志野が年間で最もパットが入ったんです。あれだけの高速で硬いグリーンなのにそれができたのは、読んだとおりに転がってくれるというか......読みどおりに打てた時に外れる確率が本当に低いグリーンでした。

要は狙いどおりにしっかり打つことさえできれば入ることが確信できる。それくらいボールの転がりを邪魔する要素がないグリーンでした。PGAツアーからは、高い要望があったはず。それにしっかり応えたのはコース管理の方々の技術力の高さと努力の証だと感じました」

PGAツアーの厳しい要望に応え、芝の刈り高や密度などを極限まで高めたアコーディア・ゴルフのスタッフに、石川プロは「感服しました」と絶賛!

日々の努力が最高のコースを作り上げることを、石川プロはよく理解している。それは彼自身がゴルフの技術において常に意識していること、すなわち真摯な姿勢・努力に通じる。そんな"常に上を見続ける"石川プロに、今シーズンの展望を聞いた。

「優勝の数というものには、あまりこだわってはいません。それよりも2位の数にこだわりたいですね。優勝するためには"最後の最後の運"が影響するなど、自分ではコントロールできない部分があります。ならば"運で決まらない"ところに常に居られることにこだわりたいですね」

「スキルは練習でチェックできますが、メンタルは試合じゃないとわかりません。厳しい試合でプレッシャーを克服し、自分のジャッジの精度を上げます」と石川プロ。

最後に石川プロからアコーディア・ゴルフ会員の皆さんに、速いグリーンの対処法を教えてもらった。

「まずは練習グリーンで下りを練習して、スピード感を摑んでください。そのうえで次にやってもらいたいのが、緩めずにインパクトすること。効果的なのは下りのラインをしっかり打って、カップの直前でショートさせることです。矛盾しているように感じるかもしれませんが、下りであってもしっかりインパクトすることを意識してもらいたいんです。

さらに、下りのスピード感を摑む時にぜひやってもらいたいのが、カップなどの目標を決めないこと。目標があるとそこに合わせる動きが入るので、目をつぶった状態でもいいから自分が気持ちよく振って転がった距離とスピード感を、身体に覚えこませてください」

石川遼/RYO ISHIKAWA
プロゴルファー。1991年埼玉県生まれ。2007年に15 歳で国内男子ツアー「マンシングウェアオープンKSB カップ」を制し、翌年にプロ転向。'09年には史上最年少で賞金王に輝くなど、長きに渡り日本ゴルフ界を牽引する。昨年は史上12人目となる国内男子ツアー通算20勝目を飾るなど、ツアーの中心選手として躍動。今シーズンもさらなる活躍が期待される。

文:出島正登 写真:前田晃(MAETTICO)

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