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吉田洋一郎コーチによる最新ゴルフレッスン。今回は多くのプロゴルファーが行う、基本的なパッティング練習法を紹介する。
最後のZOZOを制したのはコロンビアのエチャバリア
日本で唯一開催されるPGA TOUR、ZOZO CHAMPIONSHIP(2024年10月24日~27日)。2024年大会も千葉県のアコーディア・ゴルフ 習志野カントリークラブで行われ、コロンビアのニコ・エチャバリアがツアー2勝目を飾った。
ZOZO CHAMPIONSHIPは日本人にとってPGA TOURで活躍する選手を間近で見られる貴重な大会だが、歴代優勝者は日本で人気の高い選手や日本にゆかりのある選手が多かった。
第1回の優勝者はタイガー・ウッズ、第3回の優勝者は松山英樹、2023年大会は日系4世のコリン・モリカワが勝利した。
そのような意味では、エチャバリアは日本のファンにはなじみの薄い選手だが、試合では初日を2位でスタートすると、最終日の最終ホールまで白熱した首位争いを演じた。
最終日の最終組はエチャバリアと、ツアー15勝のジャスティン・トーマス、ルーキーながらプレーオフ2戦目まで進出したマックス・グレイザーマンの組み合わせだった。
一進一退の展開で勝負の行方は混とんとしていたが、エチャバリアが最終ホールで2オンに成功。バーディーを奪取して勝負を決めた。
三つ巴の優勝争いに、多くの日本のファンが魅了されたことだろう。エチャバリアのPGA TOURでのトップ10フィニッシュは、今回の優勝を含めて3回しかない。
そのうちの2回が優勝ということで、ハマった時の爆発力はあるものの、2023年から予選落ちが多く、好不調の波が激しい選手だ。今回の勝利がステップアップのきっかけになるのか今後の試合に注目したい。
また、2位タイで終わったグレイザーマンはツアー未勝利の選手だが、レギュラーツアー終盤の3Mオープンとウィンダム選手権で2位に入り、優勝まであと一歩のところまで迫った。
特にウィンダム選手権では最終ラウンドの13番まで首位を独走していたが、14番のパー4で8打を叩き自滅した。今回も最終ホールでティーショットの正確性に差が出てしまい涙を飲んだが、グレイザーマンはスイングの完成度が高く飛距離も出るので、近いうちに勝つ日が来るだろう。
今回、日本人選手は17人が出場し、PGA TOUR初出場の杉浦悠太が最上位の6位だった。
今回でスポンサー契約が切れるため、ZOZO CHAMPIONSHIPとしての大会は今回が最後だった。2025年以降、日本開催の大会が存続するのかどうかは不明だが、多くの日本のファンが楽しみにしている日本開催の大会の存続を切に願っている。
2024年大会は終盤に激しい優勝争いとなったが、勝負所で重要になるのが正確なパッティングだ。
今回は多くのPGA TOUR選手が行う、基本的なパッティング練習法を紹介しよう。実際に、2024年ISCO選手権で初優勝したハリー・ホールやベテランのマット・クーチャーら、多くのPGA TOUR選手が練習グリーンで行っている練習法だ。
まず、4本のティーを用意して、カップから1m離れた距離の上り、下り、フック、スライスの4方向にティーを刺す。そして、それぞれのティーに近くにボールを置いて、順に打つというシンプルな練習だ(ティーを刺す際にグリーンを傷つけないように注意しよう)。
その後、同様に2mの距離でも4方向にティーを刺してボールを打つ。可能であれば、さらに距離を伸ばして練習してみてもいい。
この練習をすることで、自分の苦手な傾斜がわかったり、その日の傾斜に対する自分の傾向を把握することができる。
この練習ではカップを外した時のボールの転がりに注目してほしい。
曲がるラインでは、ラインを膨らませて読んでプロラインに外してしまうのか、ラインを薄く読んでアマラインに外してしまうのかを確認することで、グリーンリーディングやアライメントのズレを確認できる。
また、ストレートなラインでも、下りは打ちすぎる一方で、上りは打ち切れないなどタッチの傾向も見えてくる。カップを外したときの傾向を把握することで、自分のパッティングの傾向がつかめるようになるはずだ。
また、自分のパッティングスキルを客観的に知るために、1mと2mの距離でそれぞれ10球ずつ打ち、カップインの確率を導き出してほしい。
自分がどれくらいの確率でパットを決められるかを知っていれば、ラウンド中も冷静な判断ができる。
「このバーディーパットを決めたい」などと鼻息を荒くせず、「30%の成功確率だから入ればラッキー」と思って気楽にパッティングをしたほうがカップインの確率は高まる。
また、ティーを4つ立てることで、傾斜を読む練習にもなる。
上りの真っすぐなラインを見つけられれば、自動的に右がフック、左がスライスのラインになるため、カップ周りの傾斜を読むことが簡単になる。普段のラウンドでも上りの真っすぐなラインを見つけられるようになれば、ライン読みが正確になり、カップインの確率も上がるだろう。
この練習はカップに対して行うことができればベストだが、他のプレーヤーがいる場合は迷惑になる可能性がある。
その場合は、練習グリーンの端でカップをイメージしてボールマーカーなどを置いてカップの代わりにしてみるといいだろう。この方法だとボールの転がりやタッチを確認することができるので、本物のカップに対して練習するよりも効果がある。
ラウンド前のパッティングの練習は漫然とボールを打ちがちだ。しかし、練習グリーンで4方向にティーを刺してパッティング練習を行い、その日の傾向を把握したうえでラウンドをすればスコアが変わってくるはずだ。
◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。
文=吉田洋一郎 写真=AP/アフロ
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