2024.06.08

吉田優利プロ、アマが飛距離とスコアを伸ばす方法を伝授

人気・実力を兼ね備えたスターとして存在感を発揮している吉田優利選手。2023年は2年ぶりの勝利に加え、米ツアーのQスクール突破も果たしました。優勝した「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」とともに2023シーズンを振り返ってもらいました。

笑顔の吉田優利プロ

「結果よりも過程にこだわった1年。今後の糧になる経験ができました」

――2023年は公式戦「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」を制して通算3勝目を挙げ、メルセデス・ランキングは7位。シーズンを振り返って、いかがでしたか?

全体的に見れば未勝利に終わった2022年のほうが、状態はよかったかもしれません。むしろ2023年は、納得できるゴルフの回数が少ないなかで、踏ん張れた年だったなという印象です。

――2022年は未勝利でしたが、トップ10フィニッシュが19回。勝利数よりも、この安定感を高く評価するということでしょうか。

ショットの調子がよくて球も曲がらないし、普通にゴルフをしていればトップ10に入れるというくらいの状態でした。だから勝てなくてもあまり焦りはありませんでしたし、メンタルも安定していました。

これは「結果を出すゴルフ」に徹していたからだと思うのですが、一方で上位にはいられても、2位と優勝の間にある壁を突破できないもどかしさもありました。

だから2023年はそこからもうひとつ上の「優勝」を勝ち取るためにいろいろ変えたり試したりしたせいで、全体的なパフォーマンスは2022年より落ちてしまったのだと思います。

でも、長いキャリアを考えると必要なことだったし、これは今後必ず実を結ぶと信じています。

クラブを構える吉田優利プロ

――そんな状態でも、メジャーを制しました。風も強く、セッティングもシビアな我慢比べのような展開になりましたが、勝因はどこにあったと考えていますか?

スコアが伸びないしんどい展開でしたが、それはみんな一緒だと信じて、集中力を切らさずに自分のパフォーマンスをしっかり発揮できたことだと思います。

どうしてもボギーは出てしまいますが、スコアを落としても「取り返せる」と思って積極的にプレーできました。

傾斜がキツく速いグリーンだったので「奥に乗せちゃダメ」と委縮しがちですが、そこにとらわれずに強気に乗せていって、パットで勝負することができたことが大きかったですね。

――パター、入っていましたね。

メチャメチャ入ってました(笑)。だから積極的に攻められたという部分はあると思います。

――メジャー勝利は、特別なものでしたか?

もちろん特別な試合で、すごく嬉しかったのですが、私としてはメジャーだから特別な姿勢で臨んだわけではなく、たくさんの試合のなかのひとつであり、それがメジャーだったことが嬉しいという感覚のほうが近いと思います。

――初勝利(2021年「楽天スーパーレディース」)と、どちらが嬉しかったですか?

難しい質問ですね。

初勝利ももちろん嬉しかったのですが、「次も勝ちたい」とか「もっと頑張らなきゃ」という思いが強かったことを覚えています。

――「次も勝ちたい」という強いモチベーションは、何から生まれるのでしょう?

勝つ喜びを知ったということもありますが、自分の可能性に一番期待している自分自身の存在でしょうか。

勝ったことによって、「どれだけ勝てるだろう」「もっといいゴルフができるはず」と考えることが増えました。

今の自分と理想の姿を比べて、何が足りないかのアイデアがどんどん出てくるようになったんです。それがモチベーションになりました。

――「足りない部分」は、当時と今では何か変わりましたか?

負けた時の傾向などを分析したこともあって技術的な面はレベルアップしていると感じていますが、最近では、昔のように余計なことを考えすぎないゴルフができたらなと、当時の自分を羨ましく思うこともあります。

笑顔の吉田優利プロ
未勝利だったがトップ10フィニッシュの多かった2022年。メジャー勝利を果たしたが安定感を欠いた2023年。それぞれから得るものがあり、それを糧として成長できていると吉田選手は話してくれました。

「速く振っても飛距離は伸びません。芯で捉えることが大事なんです」

――アマチュアにアドバイスをいただきたいのですが、スコアアップには何が大事だと思いますか?

ショートパットではないでしょうか。1mのパットを3回に2回入れられるようになれば、スコアはずいぶん変わるはずです。

ロングパットは経験や感覚が必要ですが、ショートパットはインパクトと打ち出しに集中できれば入ります。そこを練習してください。

――飛距離アップはどうすればいいでしょうか?

ミート率だと思います。練習で強振してみた時、ヘッドスピードが2/ms上がっても飛距離は変わらなかったんです。速く振るだけでは飛距離は伸びません。身体の上下動を抑えて、安定した打点で打てるようになることが、飛距離アップの秘訣だと思います。

――最後に今後についてですが、2024年はUSPGAツアーですね。アメリカで結果を残すには、何が必要だと考えていますか?

総合的な「ゴルフ力」だと思います。

日本ではピンをデッドに狙って攻めるきれいなゴルフがセオリーですが、海外では止まらないグリーンでランを計算して攻めたり、入れちゃいけないバンカーを絶対に避けるマネジメントなど、ゴルフ力が試されます。

でもこれまでに蓄積してきた技術を必要な場面で発揮できれば、自ずと結果はついてくると思います。

アメリカでもSNSなどで積極的に発信していきますので、今後も引き続き応援お願いします!

笑顔の吉田優利プロ
吉田優利/Yuri Yoshida
2000年千葉県生まれの「プラチナ世代」。2018 年の「日本女子アマ」「日本ジュニア」を制するなどアマチュア時代から活躍し、2019年のプロテストに一発合格。2021年には7月の「楽天スーパーレディース」で初勝利を挙げると、9月には「ゴルフ5レディス」にも優勝して2勝。2022年は未勝利ながらトップ10フィニッシュ19回でメルセデスランキング6位。2023年は公式戦「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」で3勝目をマーク。2023年12月に行われた米ツアーのQスクールを突破し、2024年は海外に挑戦する。

文:鈴木康介 写真:前田晃(MAETTICO) 撮影協力:さいたまゴルフクラブ(埼玉県)

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