2022.09.10

山の原ゴルフクラブが選ばれる理由──裏方仕事人インタビュー03

コース、レストラン、ショップで働くスタッフたち。明るく元気溢れる雰囲気と、仕事への真摯な対応でゴルファーの1日を支える。各分野のキーパソン3人の仕事術に迫った。

山の原ゴルフクラブのスタッフ

土の特性を把握したコース整備

フラットで幅広いフェアウェイが続く「山の原コース」と、変化に富んだホールが続く「恋里コース」。そんな個性的な山の原ゴルフクラブの36ホールをゴルファーが存分にプレーを楽しめるのも、フェアウェイやグリーンがいつでもよいコンディションに保たれているから。各コースの芝(=コースコンディション)を育成し、最良の状態に整えているのが、アシスタントコースマネジャーの藤さんだ。

自然相手の仕事だけに、彼の1日のスタートは早い。朝5時にはコースに出て、全体をひととおりチェック。その後マスター室に戻って、その日の仕事の段取りをスタッフと打ち合わせするのがルーティーンだ。日中の仕事内容は季節や天候によって異なるが、気温が上昇する夏場は特にハードワークとなる。

朝イチのチェックやグリーンの散水、昼間のコースチェック、夕方は翌日のコースセッティングなど、齋藤さんの一日は多忙だ。


「最高気温が35度を超える夏は、朝イチのグリーンの散水が欠かせません。また、芝の伸びが早いので、グリーンは最低でも1日おきにカットします。さらに、お客さまのプレーの邪魔にならないように何度かコースを見てまわり、トラブルを未然に防ぐのも私たちの仕事です」と話す齋藤さん。

実は齋藤さん、山の原ゴルフクラブに配属されたのは2度目だという。千葉県のオーク・ヒルズカントリークラブで研修を受けた後に一旦、この山の原ゴルフクラブに配属されるが、まもなくして千葉桜の里ゴルフクラブに移動。その後はキャッスルヒルカントリークラブ(愛知県)猪名川グリーンカントリークラブ(兵庫県)など、日本各地で芝やコースのことを学んだのだ。

「各地のゴルフ場でコースコンディションのことを勉強させてもらいました。すると、関東と関西では土の特性が異なることがわかりました。特に千葉の土がとても柔らかかったのを覚えています」と藤さんは、今までの経験を振り返る。

土が柔らかいと芝の張り替えがしやすく、土が硬い関西のコースでは芝の張り替え作業が大変だという。その違いを知る藤さんは「張り替え作業をなるべくしないように、丈夫な芝の育成に力を入れたい」と、強く語る。彼の強い思いが実現すれば、ゴルファーはいつでも同じコンディションでプレーができるようになるだろう。

1987年京都生まれ。日本各地のコースを回った後、2年前から山の原ゴルフクラブに配属。現在はゴルフ場近く(クルマで15分ほど)に住み、早朝5時からコースに出て、遅い日は19時くらいに帰宅するというハードワークをこなしている。

アコーディア・ゴルフゴルフ場No.1のショップ

山の原ゴルフクラブは多彩な36ホールが魅力だが、実はクラブハウス内のショップも人気なのだ。ホームページのコメント欄にも「ショップのアイテムが充実している」という声が多い。その人気の秘密は、ショップスタッフの上畑さんのセンスにあるようだ。

今年で9年目になる彼女は、ショップに並ぶアイテムのセレクトを行う。特にウェアは彼女のセレクトだ。

現在ショップで扱っているブランドは10を超える。「もっともっといろんなブランドを扱いたいです。まだみんながよく知らない新しいブランドを取り入れれば、コーディネートの楽しみが広がります」と話す。

「シーズンごとのトレンドを見つつ、お客さまの好みを考えながら、ウェアをセレクトし発注します。今年はモノトーンが流行っているので、マネキンが着るのも棚に並ぶのも白×黒のウェアを多くセレクトしています。個人的には明るくカラフルなウェアも好きなんですけどね」と笑う。

自信を持ってセレクトしたウェアを、さらに自信を持ってお客さまに薦める上畑さん。しかし「これが似合いますよ」とお薦めしても、時には「えぇ!? そうかなぁ?」と渋い反応もあるという。

「でもそのお客さまが後日、『薦めてくれた服を、家族やゴルフ仲間に似合うって褒められたよ』って報告していただいたことがあって、その時はとても嬉しかったですね」

そんな彼女のセンスと接客によって、山の原ゴルフクラブはアコーディア・ゴルフが展開するゴルフ場のなかで、昨年はいちばんの売り上げを記録した。山の原ゴルフクラブを訪れた際は、ぜひとも上畑さんの見立てでウェアを新調するといいだろう。そうすればターフで一目置かれること間違いない。

山の原ゴルフクラブ勤務当初はフロント業務で、まもなくしてショップに配属された上畑さん。ゴルフが好きで週一でコースに出ているそう。アベレージスコアは95くらいだとか。

親子二代でゴルファーをサポート接客のプロ

ゴルファーのランチは単なる食事ではなく、仲間とゴルフ談義をして寛ぐひと時。そんな楽しい時間をサポートするのが、レストランマネジャーの太田さんだ。

彼はアコーディア・ゴルフに入社してすぐに山の原ゴルフクラブに配属されるが、まもなくして亀岡ゴルフクラブ(京都府)神戸パインウッズゴルフクラブ(兵庫県)愛宕原ゴルフ倶楽部(兵庫県)に転勤。そして今年3月に、再びこの山の原ゴルフクラブに戻ってきた。

「ほぼ3年ごとに転勤が続きました。ずっと勤めていたゴルフ場のメンバーの方に『転勤するんです』と報告したら、しばらくして転勤先のコースにわざわざプレーしに来てくれたんです。その時は本当に嬉しかったですね」と、昔を振り返る太田さん。

朝は7時半からカフェで仕事を始め、昼頃からレストランを仕切る太田さん。夕方はキャディバッグの受け渡しをサポートするというマルチジョブ!

レストランはゴルファーにとって束の間の休息。おのずとお客さまは寛ぐため、スタッフとも会話をしてコミュニケーションをとる方が多い。そんなお客さまとの距離の近さやコミュニケーションがこの仕事の楽しさであり、やり甲斐のあるところだという。「お客さまがランチの時にもっと寛げるように努力したい」という想いを持っている太田さんだけに、ここ最近のコロナ禍を心底嘆いている。

「ここ最近はなんとか落ち着きを見せているので、山の原ゴルフクラブならではの美味しいメニューを考えて、お客さまにランチを楽しんでいただこうとシェフと画策中です」と笑う太田さん。新作メニューが並ぶ日が待ち遠しい。

関西で生まれ育った太田さん。実は太田さんの父親も山の原ゴルフクラブの調理をしていたという。親子二代でアコーディア・ゴルフのお客さまをサポートするという飲食接客のプロであり、また娘2人のよきパパでもある。

文:POW-DER 写真:池田佳史